- IR法案の背景
- 観光業の成長と国際競争力の強化
- 国際競争力の向上
- 経済的利益の拡大
- 雇用創出と地方の経済支援
- 他国でのIR成功事例
- 競争の激化と他国との比較
- 政治的・社会的背景
- IR法案の主な内容
- IR施設の構成と設立の目的
- IR施設の構成要素
- 施設設立の地域選定
- 地域選定基準
- 事業者の選定と運営管理
- 事業者選定の基準
- 規制と監視
- ギャンブル依存症対策
- 治安対策
- IR法案に対する反対意見
- ギャンブル依存症のリスク増大
- 依存症対策が不十分
- 家族への悪影響
- 犯罪の増加
- 地域社会への悪影響
- 一部の地域経済に依存することへの懸念
- 文化的な反発
- 今後の展開
- 現在の進行状況
- 地方自治体による新たな誘致活動
- 社会的・政治的な反発と調整
- 新型コロナウイルスの影響と回復
- よくある質問
- まとめ
今回ご紹介するのは、カジノ法案/IR法案として話題となった『統合型リゾート実施法案について』となります。
昨年、ニュースでも大々的に取り上げられ、大きな波紋を呼んだ法案でしたが、最近は一向に聞かなくなってしまったと思っている方も多いはずです。
そもそも、IR法案とは、日本におけるIR(Integrated Resort)法案、正式には「統合型リゾート実施法案」は、カジノを含む大規模な複合型リゾート施設の設立を認めるための法律です。
この法案は、日本の観光業の促進、地域経済の活性化、そして国際的な競争力強化を目的としており、2020年に施行されました。
それではIR法案の背景、内容、そして課題について詳しく見ていきます。
IR法案の背景
観光業の成長と国際競争力の強化
日本政府は、観光立国を目指しており、観光業の成長が重要な政策課題として位置付けられています。特に、訪日外国人観光客数を増加させ、観光業を国の経済成長のエンジンにしようという戦略がありました。
訪日外国人の増加
2010年代初頭から、日本への訪日外国人が急増し始め、2019年には年間訪日外国人旅行者数が約3180万人に達しました。
この成長を維持するためには、単に観光名所を提供するだけでなく、多様な観光資源を提供する必要がありました。
IRの導入はその一環として、新たな観光資源を加えるための施策とされました。
新たな観光資源の提供: IR施設は、カジノ、ホテル、ショッピング、飲食、エンターテインメント、会議施設などが一体となった複合型の施設であり、訪日外国人にとって魅力的な新たな観光資源となります。
特に、マカオやシンガポールといったIRが成功を収めている地域と同様に、IR施設が観光地の中核を担う存在になることが期待されています。
観光客の長期滞在促進: 通常の観光地と異なり、IRは一箇所で多様なアクティビティが楽しめるため、観光客の滞在期間が延長される可能性があります。
カジノだけでなく、ショッピングやエンターテインメント、MICE(会議・報奨旅行・展示会)などの活動を通じて、観光客が長期間滞在することが予想され、結果的に観光消費の増加が期待されます。
国際競争力の向上
アジアを中心に、マカオやシンガポールなどが大型のIR施設を開発し、観光業とカジノ産業を結びつけて成功を収めています。
日本は、これらの競争国に遅れを取らないよう、同様の施設を導入することで国際的な観光地としての競争力を高めようとしました。
特に、カジノを含むIR施設は、リゾート地としての魅力を高め、外国人観光客を引き寄せるための強力な手段と考えられました。
日本のIR法案の導入は、アジア圏内での国際的な観光地としての競争力を高めるための重要な施策と位置づけられています。
アジア市場へのアクセス
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アジアのリゾート地との競争: 既にカジノを含むIR施設を導入して成功を収めているアジアのリゾート地(例:マカオ、シンガポール)と競争するため、日本もIR施設を導入することで、アジア全体における観光市場の中での競争力を高めることが期待されます。
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国際的なイベント誘致: IR施設には大規模な会議や展示会、国際イベントを開催するための設備も備えられることが多いため、これにより国際的なイベントが日本で開催されることが期待されます。これにより、日本のインフラや都市の国際的なプレゼンスが向上することになります。
経済的利益の拡大
IR法案には、国内の税収増加を期待するという側面もあります。カジノを含むIR施設がもたらす経済効果は非常に大きいとされており、特に税収の増加が注目されています。
カジノ税収の活用
カジノは高額な賭けが行われるため、そこから得られる税収は相当な額になると予測されており、この税収は、地方自治体や国の財政を支える重要な収入源になることが期待されています。
また、カジノ施設の設立により、地元の小売業や飲食業などにも波及効果が期待され、地域経済の全体的な活性化が期待されました。
観光収益の増大
特定の地域に大型リゾート施設を誘致し、観光業の振興や雇用創出を図ることを目的としています。
特に観光業が弱い地域にIRを誘致することで、その地域の観光インフラを整備し、国際的な観光地としての魅力を高めることが期待されるため、IR施設の導入は、単にカジノで得られる収益だけでなく、観光業全体の収益向上にもつながります。
例えば、観光客がホテルに宿泊したり、周辺施設を利用したりすることによって、観光地全体の収益が増加することが見込まれました。
雇用創出と地方の経済支援
IR施設の建設や運営には、多くの人員が必要です。施設にはカジノ、ホテル、ショッピングモール、会議場、レストラン、劇場などが含まれるため、さまざまな職種の雇用が創出され、地元経済を活性化する効果があると期待されています。
また、地元企業の発展を促し、観光業を核とした地域経済の再生が図られると考えられます。
雇用創出
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多様な職業の創出: IR施設の建設と運営には、建設業、接客業、エンターテインメント業、観光業など、多岐にわたる職業が必要とされます。施設内でのスタッフだけでなく、周辺地域の飲食店や小売業、交通機関などにも多大な影響を与え、雇用が創出されることが期待されます。
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地方での雇用機会: IR施設が地方に設置される場合、都市部に偏った雇用機会を地方にも分配することができます。これにより、地方住民の雇用機会が増加し、人口流出の抑制や地域経済の安定化に寄与することが期待されます。
地域の経済振興
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観光業の拡大と地域消費の増加: IR施設を中心に観光業が発展すれば、周辺地域での宿泊、飲食、交通、土産物などの消費が拡大します。これにより、地域経済全体が活性化し、地方の小規模事業者や地元企業の成長を促すことができます。
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税収の増加: IR施設が得る収益には、高い税金が課されるため、その税収は地方自治体の財政に大きく貢献します。施設運営によって得られる税収は、地域インフラの整備や社会福祉、教育などの分野に充てられることが期待され、地域住民に直接的な利益をもたらすことになります。
住民の支持:
地元住民の理解と支持も大きな要素となります。地域住民との協力がなければ、IR施設の設置は進まないため、地域の意見を十分に反映する必要があります。
候補地としては大阪府(夢洲)、横浜市、長崎県(ハウステンボス周辺)などが挙げられていましたが、 2023年4月に大阪府・大阪市の整備計画が国にはじめて認定され、2030年秋頃の開業に向けて整備が進められています。
他国でのIR成功事例
日本におけるIR法案導入の背景には、アジア諸国での成功事例が影響しています。特に、シンガポールとマカオのIRモデルが注目されており、日本政府はこれらの成功を参考にし、同様の戦略を導入しようとしました。
マカオ
マカオはカジノ業を中心に急速に観光業を発展させ、世界的な観光地となりました。マカオのIRは、観光業とカジノ産業の融合により、大きな経済効果を生み出しました。その成功を背景に、日本でも同様のモデルを採用する動きが強まりました。
シンガポール
2010年に開業したシンガポールのIR施設(マリーナベイ・サンズなど)は、観光客の誘致に大きく貢献しました。シンガポールの成功は、日本の政策立案者にとって大きな参考となり、IR法案の導入を後押ししました。
シンガポールやマカオとの差別化:
シンガポールやマカオにおけるIRは、観光資源とカジノが融合した成功事例として世界的に知られています。
日本も観光地としての魅力をアピールするため、単なるカジノ施設にとどまらず、エンターテインメントやMICE(会議・展示会・報奨旅行)などの多角的な要素を組み合わせる必要があります。
競争の激化と他国との比較
日本におけるIR施設は、アジア市場における競争力の強化を目的としており、マカオ、シンガポール、韓国などのカジノ先進地域と競合することになります。
他国のIR施設がすでに成功を収めている中で、日本は観光業の発展を加速させる必要がありますが、これにはいくつかの課題が伴います。
他国の影響:
例えば、近年では韓国やフィリピン、タイなどがカジノ市場への参入を進めており、これらの国々との競争も影響を与えます。
特に、観光業を主要産業とする国々がカジノによって観光収益を拡大している中で、日本がどれほど魅力的なIR施設を提供できるかが重要になります。
政治的・社会的背景
IR法案の制定は、政治的な圧力と社会的な議論を伴いました。カジノの合法化には社会的な懸念が強く、特にギャンブル依存症や治安への影響が指摘されていました。
しかし、観光業や地域経済の振興といった利益が強調される中で、政府はこれらの懸念に対処するための規制や対策を盛り込んだ上で法案を進めています。
IR法案の主な内容
IR法案(統合型リゾート実施法案)の導入は、日本の観光業や地域経済にさまざまな効果をもたらすことが期待されています。特に、カジノを含む統合型リゾート(IR)の導入による経済的利益や観光業の振興、地域活性化など、広範な効果が予想されています。
ここでは、IR法案がもたらすとされる主要な導入効果と、それに対する期待について詳しく説明します。
IR施設の構成と設立の目的
IR法案の中で最も重要な点は、カジノを含む統合型リゾート(IR)施設の設立条件です。
IR施設は単独のカジノではなく、さまざまな施設が一体となった複合型のリゾート施設として設置されることが求められます。
これにより、観光業の多角化を促進し、観光客の滞在時間や消費を増加させることが狙いです。
IR施設の構成要素
IR法案に基づいて設置される施設は、以下の要素を備えることが義務付けられています:
カジノ: ギャンブル施設はIR施設の中心的な要素ですが、単独のカジノ施設は認められません。カジノは他の施設と組み合わせて運営される必要があります。
ホテル: 高級ホテルを中心に、宿泊施設が提供されます。観光客を長期間滞在させることを目的に、多様な宿泊施設が整備されます。
会議・展示施設: 国際会議や展示会などのイベントを開催するための会議場や展示施設が含まれます。これにより、MICE(会議、報奨旅行、展示会)需要の取り込みを図ります。
ショッピングモール・飲食施設: 観光客向けのショッピングエリアや飲食施設も不可欠な要素です。これにより、観光客の滞在中に多様なサービスを提供します。
エンターテインメント施設: ショーやコンサート、劇場などの娯楽施設が設けられ、観光の魅力を高めます。
これらの施設が一体となって、観光客に対して幅広い体験を提供し、観光業の拡大を目指します。
施設設立の地域選定
IR法案では、IR施設が設置される地域に関して明確な基準が設けられています。具体的には、全国で最大3か所までのIR施設の設置が許可されています。このため、どの地域がIR施設の誘致に成功するかは、観光資源やインフラ整備の状況など、地域ごとの条件に大きく依存します。
地域選定基準
地方経済の活性化:
IR施設の設置により、地域の経済を活性化することが期待されています。特に、観光業が不振な地域や経済的に困難な地域においては、IR施設が新たな経済成長の柱となると見込まれています。
観光資源の整備:
IR施設が設置される地域には、観光資源やインフラが整備されていることが求められます。
交通アクセスの充実や観光地としての魅力が重要なポイントとなります。
事業者の選定と運営管理
IR法案では、IR施設の運営を行う事業者の選定に関して厳格な審査基準が設けられています。これは、施設の運営が地域社会に与える影響を最小限に抑えつつ、法的な遵守と社会的責任を果たすためです。
事業者選定の基準
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財務・運営能力: 事業者には、十分な財務基盤と運営能力が求められます。特に、過去の事業運営実績や財務状態を厳しく審査します。
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社会的責任: ギャンブル依存症への配慮や、地域社会との共生が求められます。問題が生じないよう、事業者は社会的責任を果たすための対策を講じる必要があります。
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国際的な経験: 国際的なリゾート施設の運営経験がある事業者が優先されることがあります。これにより、施設の品質やサービスのレベルを国際水準に保つことが期待されます。
財務・運営能力: 事業者には、十分な財務基盤と運営能力が求められます。特に、過去の事業運営実績や財務状態を厳しく審査します。
社会的責任: ギャンブル依存症への配慮や、地域社会との共生が求められます。問題が生じないよう、事業者は社会的責任を果たすための対策を講じる必要があります。
国際的な経験: 国際的なリゾート施設の運営経験がある事業者が優先されることがあります。これにより、施設の品質やサービスのレベルを国際水準に保つことが期待されます。
IR施設の運営に関しては、事業者は施設の設計、建設、運営管理まで一貫して行うことになります。
規制と監視
IR法案は、カジノを含むIR施設の運営における規制と監視を厳格に定めています。これにより、社会的なリスク(ギャンブル依存症の拡大、治安の悪化など)を最小限に抑え、施設が健全に運営されるようにします。
ギャンブル依存症対策
入場制限
一定の基準に基づき、ギャンブル依存症のリスクがある人々の入場を制限する制度が設けられます。例えば、自己排除プログラムにより、自らカジノへの出入りを制限することができます。
これにより、問題を抱える人々が施設にアクセスできないようにすることで、依存症の予防と早期発見が進むとされています。
依存症治療支援
依存症治療の専門機関と連携し、問題がある場合は治療を支援するプログラムが導入されます。
教育・啓発活動
ギャンブル依存症のリスクについて、訪問者や地域住民に対して啓発活動が行われます。
ギャンブル依存症に対する治療プログラムやカウンセリングが提供され、依存症患者の支援が行われるため、社会的な責任を果たしながら、地域社会への悪影響を最小限に抑えることが期待されます。
治安対策
警備体制
IR施設内外での治安を維持するため、厳格な警備体制が必要とされます。また、ギャンブル関連の犯罪防止策も強化されます。
カジノ施設は、高額な賭けや大きな金銭の流れがあるため、治安維持が重要となっており、監視カメラや警備体制の強化が義務付けられ、治安の悪化を防ぐための措置が取られます。
不正行為防止
カジノ内での不正行為(賭博の不正操作やマネーロンダリングなど)を防ぐため、監視カメラやセキュリティシステムの導入が義務付けられています。
国際的な基準に基づいた対策が講じられることが期待されます。
IR法案に対する反対意見
ギャンブル依存症のリスク増大
カジノの設立により、ギャンブルに対するアクセスが容易になることで、ギャンブル依存症の患者が増えることを懸念する声が多いです。
カジノが提供する高額な賭けや連続的なゲームの誘惑は、一度依存症に陥ると抜け出すのが非常に難しいため、社会全体に与える悪影響が大きくなると危惧されています。
依存症対策が不十分
反対派の中には、IR法案に盛り込まれた依存症対策が不十分であるとする意見があります。
例えば、自己排除プログラムや入場制限などの施策はあるものの、それらが実際に効果的に機能するかについての不安があります。
特に、カジノの開設が地域社会に与える長期的な影響を考慮した場合、ギャンブル依存症に対する対策が十分でないと感じる人が多いです。
家族への悪影響
ギャンブル依存症に陥った場合、個人だけでなく、その家族や周囲の人々にも深刻な影響が及びます。
反対派は、カジノがもたらす経済的・精神的負担が家庭に大きな負担をかけると指摘しており、これが社会全体の問題に発展する可能性を懸念しています。
犯罪の増加
反対派は、カジノ周辺での犯罪、特にマネーロンダリング(資金洗浄)や違法賭博の温床になる可能性があると警告しています。また、カジノでの高額な取引が関与することで、暴力団などの犯罪組織が関与する可能性も指摘されています。過去の事例として、カジノを開設した他国での治安悪化が報告されていることを挙げ、治安の維持が難しくなるのではないかという懸念が広がっています。
地域社会への悪影響
IR施設周辺では、ギャンブル目的で訪れる人々が集まり、治安の悪化を引き起こす可能性があります。
特に、カジノが設置される地域が観光地や住宅地に近い場合、住民にとっての治安リスクが高まることが懸念されています。
また、酔っ払いやトラブルが頻発し、警察や自治体の負担が増加することも懸念材料です。
反対派は、カジノに依存するようになると、住民が得られる経済的利益よりも、ギャンブルによる社会的コスト(依存症治療、治安維持など)の方が上回る可能性があると警告しています。
特に、カジノでの利益が地元経済に還元されない場合、地域住民への恩恵が薄いと感じられることになります。
環境破壊のリスク
特に、IR施設が自然環境に密接に関連した地域に設置される場合、施設建設による環境破壊や生態系への影響を懸念する声があります。
また、大規模な施設が周囲の自然景観を損なう可能性があるため、観光資源としての魅力を失うことを懸念する人もいます。
一部の地域経済に依存することへの懸念
反対派は、IR施設が地域経済を活性化するのではなく、特定の施設に依存しすぎて地域全体の経済的なバランスを崩す可能性があると主張しています。IR施設に依存する経済モデルは、長期的に見て地域の多角的な経済発展を妨げることがあると考えられています。特に、カジノ産業が地域の中心になってしまうことで、他の産業(農業、製造業など)が疎かになるリスクも指摘されています。
文化的な反発
カジノの導入に対する文化的な反発も、反対意見の一因です。
日本の文化との不調和
日本の社会や文化において、ギャンブルは一般的に好まれていないという見方が強いです。
特に、カジノを導入することによって、伝統的な価値観に反するのではないかという懸念があります。
反対派は、ギャンブルがもたらす社会的な弊害を懸念し、カジノの導入が日本の伝統文化や社会的価値観に悪影響を及ぼす可能性があると考えています。
倫理的・道徳的問題
ギャンブルに対する反感は、倫理的・道徳的な観点からも指摘されています。
特に、貧困層や弱者層が依存症に陥りやすいことから、ギャンブルの合法化に反対する人々は、その倫理的・道徳的な問題を強調しており、社会全体がギャンブルに対する依存や中毒に苦しむことになるのではないかと懸念しています。
税収の使途についての不透明さ
反対派は、IR施設から得られる税収が地域経済にどれほど還元されるかについての保証がないことに懸念を示しています。
税収が十分に地域振興や社会福祉に使われない場合、施設の運営者や大手企業が利益を得るだけで、地域住民には十分な恩恵がないのではないかという問題があります。
今後の展開
IR法案(統合型リゾート実施法案)についての現状と今後の展開は、進行中の議論や政策の実行、各地方自治体の取り組みの結果によって大きく変動しています。
現在の進行状況
現段階では、IR施設の設立が進んでいるのは、主に以下の3地域に限られています:
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大阪府・市(※2025年に開業予定)
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横浜市(※開業予定は不透明、2020年に横浜市はIR計画を一度撤回)
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長崎県(※開業予定は2027年頃)
大阪のIR施設は、「夢洲(ゆめしま)」という人工島を中心に開発が進んでおり、計画では「MGM Resorts」と「オリックス」がコンソーシアムを組み、施設の建設・運営を担当します。横浜市は一度IR誘致を進めていましたが、市長選や住民の反対意見を受けて、最終的に計画を撤回しています。
一方、長崎県では、カジノを中心としたIR施設の設置が進んでおり、カジノに依存しない観光施設や地域振興策との連携が期待されています。
地方自治体による新たな誘致活動
今後、IR施設が導入される地域は限られているものの、地方自治体の誘致活動は引き続き注目されます。
IRを誘致する地方自治体は、観光業や地域振興を推進し、インフラの整備や雇用創出を期待しています。
特に、観光業の振興が重要な地方経済において、IRの導入は一つの突破口と考えられています。
誘致活動の進展
現在も複数の地方自治体でIR誘致活動が行われており、将来的には2か所以上のIR施設が開設される可能性もあります。
例えば、北海道や沖縄など、観光地としての潜在力がある地域でもIR誘致に対する関心は高いです。
地域振興への期待
地域経済を活性化するためには、IR施設の収益が地域社会に還元されることが重要です。
観光、宿泊、飲食、交通など、周辺業種との連携による経済波及効果が期待されています。特に、地方の人口減少問題への対策としてIRの導入は有効な手段と見なされることが多いです。
社会的・政治的な反発と調整
IR法案導入において、最も大きな課題の一つは、社会的および政治的な反発をどう乗り越えるかという点です。
ギャンブル依存症、治安の悪化、地域経済への悪影響、倫理的な問題など、反対意見は根強く存在しており、これらの課題への対応が今後の展開に大きな影響を与えます。
依存症対策の強化
依存症問題に対する懸念を払拭するために、依存症予防や治療プログラムの充実が求められています。施設運営者は、カジノに訪れる人々が自制できるようなシステムの整備と、依存症患者へのサポートを強化する必要があります。
住民投票と反対運動
地域住民の反対運動や、住民投票を通じてのIR誘致計画の撤回も予想されます。これにより、政治的な調整が必要となり、計画の進行に遅延を招く可能性もあります。
新型コロナウイルスの影響と回復
新型コロナウイルスのパンデミックは、観光業や国際的な移動に大きな影響を与えましたが、IR施設にもその影響が及びました。国際的な旅行や観光業が回復する中で、IR施設の経済効果も徐々に回復することが予測されます。
観光業の回復とIRの影響
コロナ禍を受けて、観光業全体の回復には時間がかかる可能性があります。観光客の戻りが予想される中で、IR施設が観光業の再生を牽引することが期待されています。
新しい形態の観光施設
感染症対策として、非接触型のカジノゲームや、オンラインカジノなどの新しい形態のサービスが導入される可能性があります。これにより、施設の集客方法も多様化することが期待されます。
よくある質問
Q: IRとはカジノの目的は何ですか?
A: カジノ解禁をめぐる議論と自治体・企業の動き 国際観光の誘致を目的に、カジノをはじめホテルや国際会議場、ショッピングセンターなどを複合的に開発するIR(統合型リゾート施設)。 だがカジノ解禁に対する抵抗は大きく、現在までに具体的な事業化には至っていない。
Q: IRとはカジノを含む統合型リゾートの事ですか?
A: IRとは、会議場やホテル、エンターテインメントなど、誰もが訪れ、楽しむことができる施設と、これらの施設を収益面で支えるカジノ施設が一体となった統合型リゾートです。
Q: カジノは、IRに必要不可欠なのですか。
A: IR整備法では、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ事業の収益を活用して、IR区域の整備を推進することにより、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現することとされており、大阪IRもこの規定を前提としています。
Q: 日本にカジノができるのはいつ?
A: IR施設は30年夏ごろの竣工を予定している。 斉藤鉄夫国土交通大臣は4月14日、大阪府・市が申請していたカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の区域整備計画を認定した。 実現すれば国内初のカジノ施設となる。 府などは2029年秋以降の開業を目指す。
Q: 大阪統合型リゾートはどこにありますか?
A: 計画予定地は大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」の中央部北側。 敷地面積約49.2万m2で、2025年開催予定の国際的な博覧会の隣接地である(将来的には博覧会会場跡地も2次、3次工事を経てIRの施設として組み込まれる予定になっている)。
Q: カジノの日本人入場料はいくらですか?
A: 自民、公明両党は3日、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の内容で合意した。 最後まで調整が続いていた日本人のカジノ入場料は1回6000円とする。 政府・与党は今国会の重要法案と位置づけており、内容を巡る調整は決着した。
Q: カジノ法案のメリット・デメリットは?
A: IR整備法では、既存の公営ギャンブルに加えカジノが解禁。 カジノのメリットとしては地域振興や雇用創出がある一方で、治安や生活環境の悪化、ギャンブルの依存症が増加といったデメリットも挙げられています。
まとめ
さて、IR法案についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
カジノIR法の成立により、日本国内でのカジノを含む統合型リゾートの開発が現実のものとなりましたが、実際に施設が開業するまでには、地域選定、事業者選定、さらには施設建設に至るまでの詳細なプロセスが残されており、課題は山積みと言わざるをえないと思います。
特に、ギャンブル依存症対策などの社会問題への適切な対応が不可欠であることを示唆しており、、反対意見や課題への対応がどのように進展するかが、IRの導入が成功するかどうかの鍵となっているとと言っても過言ではないと言えるでしょう。
また、カジノ解禁に伴う社会的影響への懸念も根強いため、政府および関連機関は、これらの問題に対する丁寧な対応と透明性のある情報提供が求められています。
この新たな政策が日本にとってプラスの効果をもたらすかどうかは、今後の政策の推進とその実施にかかっているので、規制の運用を通じて、目指すべきアウトカムである「観光及び地域経済の振興」と「財政の改善」が実現することが重要です。
ただ、IR事業をしっかりと統制していこうという姿勢が打ち出された内容となっているので、IR事業者とのコミュニケーションを通じて、IRによる経済効果を最大化するように規制内容がブラッシュアップされ、さらなる「世界最高水準のカジノ規制」に進化していくことに期待できると思われますが、みなさんはどうお考えでしょうか?